太陽は春めいてきましたが、まだまだ寒い日が続いています。
9月以来、久しぶりの投稿となりました。
陸上競技を引退してからもブログを続けてまいりましたが、創部10年の節目を迎え、そろそろ引きどきかと考えておりました。そうです、これは「選手ブログ」だからです。笑
ずいぶん長くこのブログを書き続けてきました。かれこれ10年ですね。
競技者として、コーチとして、感じていることを漠然と心の中に留めておくのではなく、発信できるよう文字にすることは、私自身を見つめる良いきっかけにもなっていました。
皆さんに東邦銀行陸上競技部を知っていただく場所がこのホームページです。
活動の様子や試合結果、そして選手の思いがこの場所から発信されています。
私は子供のころから国語が好きで、本を読んだり、辞書を引いたり、文字から膨らむ想像の世界が好きでした。
今はインターネットの発達によって、更にいろいろな形で様々な人の表現に触れる機会が増えました。
あっさりしたシンプルな文章、妙に一言一句にこだわりがあるようなクセの強い文章、後からじわっとくるような味のある文章、文章の中にはその人の人となりを感じます。
その中でも私が魅力を感じるのは何か一つのことに夢中になっている人が紡ぐ言葉の熱です。
文章の技法や構成を越えて伝わってくるその人の情熱を感じます。
これまでのブログを振り返ってみても、選手の頃の文章とコーチになってからの文章はまるで違います。それはそれで面白いのですが、どちらが好きかといえば、選手の頃の文章です。端的で的を得たような鋭さがあったように思います。
他のメンバーのブログを見ても、同じ人が書いているのに、内側から瑞々しさがあふれるような文章、熱い思いが伝わる文章、その時の状況によって様々です。
アスリートとして過ごす時間は人生の中でもそう長くはありません。
その人生の貴重な時間を自分の身体と心と向き合い、時には弱い自分を受け入れ、励まし、叱咤しながら、精進していく時に自ずと出てくる言葉は今しか紡げないものだと競技者を終えて感じます。
ぜひこのブログで発信されている選手の言葉の背景などにも思いを馳せながら読んでいただければ面白さも倍増?かと思われます。
今回の投稿を持って、選手ブログを引退させていただこうと思いますが、今度は活動レポートなどで選手の様子などを時々レポートできたらなぁ、なんて思っています。
このホームページを通して、当行陸上競技部に関心を持っていただけたり、応援したいなって思っていただければ、とても嬉しいです。
長らくのご愛読ありがとうございました!
これからも東邦銀行陸上競技部を宜しくお願い致します!
【本日の一枚】
夢に向かって
2021.09.27
こんにちは。
すっかり空が高くなり、爽やかな秋晴れが続くようになりました。
私たちは昨日まで全日本実業団対抗選手権に参加してきました。
年に一度のチーム対抗戦でしたが、残念ながら今年は男女総合・女子総合ともに優勝をすることができませんでした。
チームごとの総合成績を競い合う「対抗戦」は大学では「対校戦」と記載します。
私はこの「対校戦」が学生の頃から大好きでした。
チーム対抗戦のどんなところが好きなのだろうと時折考えるのですが、選手一人ひとりが生み出すパフォーマンスが足し算ではなく掛け算のように相乗効果をもたらしていくところが心地よく感じるからだと思います。
この相乗効果をいかに作れるかがチーム力の見せどころなのだろうと思います。
「自己ベストが出た」
「決勝にギリギリ残った」
「表彰台に食い込めた」
「接戦を制して優勝した」
ほんの少しで「明暗」が分かれるような場面で「明」に転ぶパフォーマンスがチームに勢いをつけ、それが次に登場する選手の背中を押してくれるのだと思います。
チームに勢いをもたらすパフォーマンスはどのようなものなのか、どんな表情で、どんな姿勢で勝負をするのか、記録や結果だけではない要素が相乗効果につながっていきます。
この大会にどんな気持ちで準備をしてきたのか、何を目指して来ているのか、チームメイトであれば、より互いの状況がよくわかります。
日頃から時間や空間を十分に共有した仲間であればあるほど、相乗効果を生み出す要素はよりたくさんあると思います。
大学を卒業してもなお、こうしてチームとして活動し、相乗効果を感じることができる機会があることはとても嬉しいことでもあります。
またコロナ禍で思うように活動できない方々もいる中で、日頃の成果を発揮できる舞台に立てることへの感謝も忘れてはいけないと思います。
今シーズンも残りわずか。
2021年シーズンを最後まで選手とともに思い切り駆け抜けていこうと思います!
【余談〜昔の人が見たら〜】
全日本実業団が行われたヤンマースタジアム長居です。
大阪夏の陣に来ていた人が見たら、びっくりしちゃうような建物ですね。
そう思いながら、昔の人が現代にタイムスリップした気持ちになって、いろんな建物を見るのが好きです。あべのハルカスなんて本当にびっくりしてしまいそうです。
2021.08.23
まもなく東京パラリンピックが始まります。
東邦銀行陸上競技部からは佐々木真菜が視覚障害T13クラスの100m、400mに出場します。
ご存知の方も多いと思いますが、パラリンピックは1948年イギリスのストーク・マンデビル病院で行われた車椅子アーチェリー競技会が起源と言われています。第二次世界大戦で脊髄を負傷し、この病院に入院していた兵士たちのリハビリを目的として行われたそうです。
その競技会を提唱し、後にパラリンピックの創始者と言われるルートヴィヒ・グッドマン博士が兵士たちにかけた言葉が印象的です。
「失われたものを数えるな、残されたものを最大限活かせ」
この言葉はパラアスリートだけではなく、私たちにも共通して言えることだと思います。
私たちは何かを失った時、うまく行かない時、失くしたものやうまく行かない要因に気が取られがちです。
時には失くしたものを取り返そうと更に無駄足を踏んでしまうことも度々あります。
長く競技をしていると身体のどこかに痛みがあったり、事前に調整がうまく行かず練習が少し足りなかったり、様々な不安要因を抱えて試合に臨むこともありました。
そういう時はどうしてもその身体の一部に気を取られたり、できなかった練習を悔やんだりするわけですが、そんな時にハッとします。
「たった身体の3%が痛いだけで、残りの97%は元気なのに、なぜたった3%に私は気を取られているんだろう」
「調整の一部がうまく行かなかっただけで、そんなに人間のコンディションがガクッと狂うわけがないのに」
人間の身体は繊細なようで、そんなに弱くないと思うのです。
3%痛かったら、残りの97%で勝負をすればいいのだと思えてきます。
まさに「失われたものを数えるな、残されたものを最大限活かせ」です。
佐々木は生まれつき目に入る光の量が調節できない無虹彩症という難病を抱えています。
眩しくてレーンが見えづらいという難しさだけではなく、強い光を浴びすぎると目に痛みが出ることもあります。
入行して6年が経過しようとしていますが、この6年間の彼女の努力とそれに伴う成長は一人のアスリートとして尊敬に値するものだと感じています。
今回の東京パラリンピックに出場するアスリートの皆さんは様々な障がいを持っています。
この舞台にたどり着くまでの努力や葛藤、発想の切り替え方は想像を超えていると思います。
ソチパラリンピック閉会式の演出で話題を呼びましたが、
「Impossible(不可能)」もアポストロフィ(')をつけることで「I'm possible(私はできる)」になります。
一見、不可能なことでも、少し工夫をしたり、発想を変えることで、可能になるのだと思います。
不可能を可能にして競技に臨むパラアスリートの凄さを東京パラリンピックを通して感じたいと思います。
そして当行佐々木真菜へのご声援もどうぞよろしくお願いいたします。
【夏の夕暮れ】
少しずつ夕暮れの風が気持ちよくなってきました。